弁理士は、多くの知財経験のある技術者の方が目指す資格ですが、何年もかけて取得したにも関わらず、いざ明細書を書こうとしたら難しくて挫折される方がいらっしゃるのも事実です。
今回は、明細書を書ける弁理士になるための、回り道のようで実は最短なルートについて、紹介します。
特許調査という選択
それは、まず特許調査をする事です。
念願の弁理士登録をして明細書を書ける仕事に転職しました。じゃあ明細書書いてみてと言われても、そんなにすぐに書けるものではありません。
企業で特許出願の経験がある方でも、自分の書いた明細書が知財部や弁理士に修正されて戻ってくるのが普通で、自分が書いたまま出願されたという方はそんなに多くないはずです。
まず明細書の独特の言い回しに慣れるまでが大変です。理系の方であれば、構成要件を思わず箇条書きにしたくなるのではないでしょうか?
良い明細書を書くために必要なことは、良い明細書を数多く読むことです。
そのために一番良い仕事が特許調査です。調査の仕事は、とにかく読む明細書の数が違います。
たくさん読んでいると、この明細書はひどすぎると思えるものも、これは誰が書いたのかと思わず名前を見てしまう、すばらしい明細書もあります。その経験が良い明細書を書くためのベースとして仕事をしながら習得できるわけです。
登録調査機関での特許調査業務
さらにいえば、私のイチ押しなのが、特許調査のなかでも、特許庁の登録調査機関の調査です。これは特許庁の審査官のために、検索した結果を報告する仕事ですが、年単位で仕事が発注されるため、基本的に毎日朝から晩まで仕事が確実にあります。
こちらは1日に数百件から千件以上の明細書を読んで読んで読みまくる仕事ですので、仮に1日500件、年間休日125日として500✕240=120000、1年で12万件の特許を読んでいる訳です。
民間の特許調査の仕事だと、発注がなければ仕事が無いわけで、毎日コンスタントに朝から晩まで特許調査しているということはないでしょう。
さらに、この仕事ですが、定期的に審査官と面接(対話といいます)しますので、審査官がどのように考えて登録・拒絶の判断をしているのかを月に何回か聞くことができます。どうすれば登録になるのか直接教えて貰えるという訳です。
というわけで、将来的には明細書を書きたいと思っている方、
未経験弁理士取得者 → 特許事務所弁理士
よりも
未経験弁理士取得者 → 登録調査機関検索者 → 特許事務所弁理士
の方が、回り道のようで、実際は最短で良い明細書が書けるようになると思います。
このコース、考えたこともなかったという方多いと思いますが、ぜひご検討ください。
登録調査機関についてもっと知りたい方、こちらでも紹介しております。
さらにこの仕事ですが、入社時期にも制限があることが多いのでご注意下さい。